2000年代に比べて現在エロゲが衰退してしまった理由5つ|マニアが考察

2000年代に比べて現在エロゲが衰退してしまった理由5つ|マニアが考察

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超絶面食いオナニスト
メロン
エロゲとAV、映画の濡れ場が三度の飯より好きな40代ライター。大学で小学校の初恋の子に再会するもチンピクせず、自分はロリコンだったと気づく。己のブサイクは棚に上げ、超面食いです。最近のオカズは「美少女万華鏡」、木下凛々子、濡れ場はタン・ウェイのわき毛SEXが何年も不動の首位。趣味は海外SNSでフィリピン人シングルマザーの身の上話を聞く事。
「ま~た紙芝居じゃんか!」エロゲの新作をレビューしようとして、何度ため息をもらした事か。もちろん優れたシナリオの作品もありますが、一体いつまでノベル式クリックゲーに安住するつもりかと怒りを通り越して呆れる始末。しかし世間の目はさらに厳しく、エロゲ業界の規模縮小ははっきり“衰退”と呼べるレベルにまで落ち込んできました。今回はエロゲマニアの筆者が、2000年代に比べて現在エロゲが衰退してしまった理由を徹底的に検証します!


2000年代に比べて現在エロゲは衰退してしまっている…

エロゲの全盛期はTYPE-MOONから「Fate/stay night」が発売された2004年と言われています。「Fate/stay night」の売り上げ本数はその年だけで15万本に迫り(最終売り上げは25万本)、同じ2004年に出た「CLANNAD」(Key)も非18禁ゲーながら10万本を越えるセールスを記録しました。

年間売り上げベスト20のタイトルのうち、じつに12本が3万本以上。1万本売れれば大・大・大ヒットの世界ですから、これは恐るべき数字でしょう。しかしアダルトゲームライターの鏡裕之氏によれば、現在のエロゲ市場に往時の勢いはありません。その衰退ぶりは、複数の資料をもとに氏がまとめた市場規模の推移を示すデータからも明らかです。

2003年  560億円(財界さっぽろのデータ)
2006年  351億円(以下、矢野経済研究所)
2007年  341億円
2009年  300億円(グラフから推測)
2010年  261億円
2011年  243億円
2012年  198億円
2013年  188億円
2014年  191億円
2015年  185億円
2016年  168億円
2017年  160億円
引用:note「商業エロゲーが黄金期を終え、一時的に縮小し、そして復活した理由についての推論」


肝心の2004年の統計が抜けていますが、エロゲの市場規模を示すデータには残念ながら穴が多いのが実情。「90年代こそエロゲの全盛期」とする説についても引用のような客観的なデータが揃っておらず、そう断言するには裏付けが乏しくなっています。

話を戻しましょう。2003年と2017年とで市場規模を比較すると、

160÷560×100=28.6(%)

となり、この15年の間にじつに71.4%も縮小してしまった計算になります。数字というものは冷酷ですから、エロゲ市場の惨憺たる衰退ぶりはまさに一目瞭然です。


年間90作のエロゲーをプレイするマニアの筆者が衰退の理由を徹底考察

1990年代初頭にエロゲにハマり、以来脱け出せなくなった筆者。「同級生」で10万本超えの大ヒットを飛ばしたエロゲブランド・エルフの当時の無双ぶりを、まるで昨日の事のようにありありと覚えています。

そんな筆者にとっても、最近のエロゲ市場の縮小ぶりは大きな懸念材料。業界をけん引するような大ヒット作にもなかなか恵まれず、このところの深刻な先細り感には不安しかありません。業界の行き詰まりを打開するには、やはり衰退の原因を徹底的に洗い出すしかないと考えました。


①ノベルタイプのクリックゲー(いわゆる紙芝居)ばかりでつまらない

人が死ぬようにゲームのシステムも死にます。UIなどが洗練され完成の域に近づくほど、ゲームの内容は均一化しプレイのモチベを維持できないものになりがちです。衰退の理由はいろいろありますが、エロゲそのもののマンネリ化こそその最たるものだと筆者は考えます。

新作の多くがノベルタイプのADVで、画面をクリックしてテキストを読み進めるものばかり。分岐も多少あるとは言え、メインルート以外は似たり寄ったりの展開です。20年来ゲームシステムが全く更新されておらず、設定やシナリオをいくらいじってみたところで飽きられるのは当然でしょう。

大ヒット作は往々にして、良い影響と悪い影響をもたらします。2004年の「Fate/stay night」以降、ノベル系ADVが数多く作られ黄金期を迎えたのが良い影響。フォーマットが確立されてエロゲが制作しやすくなり、似たような凡作が巷にあふれたのが悪い影響と言えるでしょう。


②スマホの普及で「ゲームは基本無料」の意識が広がった

エロゲを取り巻く社会環境で、ここ20年の最も大きな変化はスマホの普及です。ゲームと言えば基本無料のスマホアプリでというのが、若者の間にすっかり定着しました。そういう時代に、PCでしか遊べないフルプライスのエロゲが受けないのは想像に難くありません。

SwitchやPS4などの家庭用ゲームの市場規模は約4,400億円(2019年、ファミ通調べ)。エロゲは最盛期でも560億円と約8分の1ほどの規模です。薄利多売は全く見込めませんから、ソフト1本あたりの価格は当然高くなります。中には1万円を超えるソフトだって珍しくありません。

「無料で遊んで時々アイテム課金」のスタイルに慣れた若者が、数千~1万円もするエロゲに手を出すのは相当高いハードルでしょう。スマホで遊べるブラウザゲーにもR18の抜けるコンテンツはあるわけですし、そういう意味でもPCエロゲの需要は目減りしています。


③ラノベの隆盛。プレイヤーだけでなく優れたライターまでエロゲから流出

2010年に300億円の大台を割り込んだエロゲ市場。それとは裏腹に、ちょうどその頃から市場規模が拡大してきたのがライトノベルです。ラノベとエロゲは一部ユーザー層が重なり、後者の衰退に少なからず影響があったものと推察されます。

2016年度のライトノベル市場規模は、文庫本と単行本では前年比3.4%減の約339億4000万円だが、電子書籍では前年比22.4%増の約97億円と好調だ。
(中略)
昨年、1年間に出版されたライトノベル全体の作品数は約2500点に及ぶ。2007年は年間約1250点であり、10年で約2倍に増加したことになる。
引用:東洋経済オンライン


頭脳流出と聞くと日本から海外へと連想しがちですが、国内で隣接するジャンルに乗り換えるケースもあります。筆者の知る限りでも竹宮ゆゆこ、弓弦イズル、橘ぱん、七烏未奏といった錚々たるメンツが、ラノベは書くのにエロゲ制作にはもうここ何年も携わっていません。


④新規プレイヤーになるはずの若者が保守化し、エロ耐性も大きく後退した

エロゲと言えば凌辱、触手にボテ腹、異種交配とエロシーンの過激さが売りでありステータスでもありました。AVでさえ描けないどぎつい描写を、美麗なグラフィックで易々とやってのけるエロゲ。筆者のようなマニアにとって、それはまさに心と股間の最高の解放区です。

ところが最近、各所で若者の保守化が指摘されています。大規模災害やそれに伴う景気の悪化、グローバル化と呼応するナショナリズムの台頭。そうした一連の潮流を背景として、最近の若者はあるがままの今を無批判に受け入れる現状肯定派が増えていると言うのです。

エロゲの衰退と関わるのは、そんな最近の若者に見られるセックスの淡白さ。コンドームメーカーのジェクスが2020年に行なった性体験についてのアンケート調査によると、

年代別に確認していくと、20代男性は「ない」と回答した人が39%に上る。30代でも20.1%、5人にひとりは経験がないという結果になった。20代女性で「ない」と回答したのは25.7%、30代女性では14%にとどまり、若い男性のセックス離れが顕著に見られた。
引用:Yahoo!ニュース


“H未経験=エロに興味がない”とは即断できませんが、ソープで筆おろしする意欲すらないのだとすれば、やはり今の若者は昔に比べてセックスに淡白になったと言わざるを得ません。そしてその事もまた、保守化傾向と軌を一にするものだと考えます。

筆者の経験上エロゲはAVのさらに先にあるもので、女体へのあくなき衝動なしに手が出るコンテンツではありません。セックス全般に対し奥手になった若者にとって、アブノーマルなプレイが頻発するエロゲは唾棄すべき対象となり下がったのではないかと推察されます。


⑤単純にパソコンを持っている若者が減った

これもスマホの影響ですが、そもそもパソコンを持っていない若者が増えています。エロゲはパッケージ版を買うにせよダウンロードするにせよ、基本PCなしには遊べない仕様。キーボードの打ち方さえ知らない若者にとっては、初めから縁のない遊びというわけです。

現在、多くの企業の中では業務がパソコンをベースに設計されているため、営業報告や情報閲覧、各種申請などパソコンが使えないと仕事が回らない。業務メールをGmailに飛ばしてスマホで打つという社員が出てくると、これは会社の機密度にもよるのだが、「それでは困る」という会社も出てくる。
引用:ダイヤモンド・オンライン


ただあと10年もすれば状況は逆転し、会社の業務からPCの方が駆逐されるでしょう。その頃にはスマホの扱いにたけた若者たちが、企業の中核を担うようになるからです。エロゲがPCでの動作を前提に作られている以上、若者へのアピール度は今後ますます下がって行くに違いありません。


筆者が考える、エロゲーの衰退を止めるための提唱

しかし現状を憂えてばかりでは何も始まりません。では一体どうすれば、先細りゆくエロゲ業界を再び活性化させられるのでしょうか?

エロゲの衰退を止めるに、業界は何をどう改革すべきなのか。僭越ながら筆者の考える3つの処方箋を、以下にご紹介させていただきましょう。


過去の名作・神作をスマホの有料買い切りアプリとして売り出す

iPhoneのiOS経由では難しいでしょうが、Androidならスマホでも18禁アプリが遊べます。ブラウザゲーなら、端末のOSに関わりなくプレイ可能です。DMM GAMESストアで購入しスマホで遊べるPCエロゲもすでにありますが、価格はフルプライスのままでアプリゲー感が薄いです。

あの「Call of Duty」ですらモバイル版が基本プレイ無料で遊べる時代ですから、フルプライスのエロゲだってもっと安価にスマホで遊べるべき。とにもかくにもPCメインというイメージをいち早く脱しないと、若者がエロゲの存在にすら気づかないままになりかねません。

評価がすでに確定している名作・神作のたぐいを軽量版にリメイクして売り出せば、今どきのお手軽なアプリとは違うストーリーの重厚さやエロシーンの過激さをアピールするのに最適でしょう。むろんグッと低価格に設定して、新規プレイヤーを獲得するのが狙いです。


メイン√とサブ√の別を廃し、ヒロインはすべて平等に扱う

テキストADVに特化した提案ですが、1人のメインヒロインと4人のサブヒロインといった現在の分け方はナンセンス。その事によりサブ√(ルート)は短く話の展開もおざなりで、本腰を入れて遊べるのはメインヒロイン√だけだろうとプレイヤーにネタバレするからです。

たとえば重要度に差を設けないヒロインを3人程度にしぼって登場させ、それ以外のヒロインはダウンロードコンテンツにしたらどうでしょうか。そうする事で本体価格を下げれますし、全ての√が同じ扱いなら途中ダレる事なくゲームを最後まで楽しめるでしょう。

サブヒロインの話は気に入ったのに、メインヒロインが好みでないためにユーザーがエロゲ自体の評価を下げざるを得ない事もよくあります。全ヒロインの扱いに差がなければ、メーカーにとって不本意なそういう事態も未然に防げるでしょう。


エロシーンをモ有り・モ無しの2段階方式にする

筆者のようなマニアは、エロ描写が過激であればあるほど喜びます。ただ世の中にはその手のエグい描写が苦手で、エロゲのプレイに一歩を踏み出せない人も多いはず。中出しの有無や断面図挿入の有無などは選べる事が多いものの、もっと手前の初歩的なレベルで選択肢を設けるべきです。

AVだっていまだモザイクが当たり前なんですから、エロゲもこの際デフォルトはモ有りにしてみてはどうでしょうか?システム設定ではモ無しにできず、ゲームを進める中で決められたフラグを回収できたら有る無しの選択ができるようにしておくんです。

中~上級者にとってはエロシーン解放の障壁が1つ増えるくらい朝飯前で、かえって攻略意欲がかき立てられるはず。いっぽう初心者はモ有りの状態で安心してプレイできますし、はずしたいと思えばのめり込んで遊べば良いわけです。またモ有りだと各種メディアで紹介されやすくもなるのではないでしょうか。


エロゲーが衰退する今、復興のキーになるかもしれない3作品を紹介!

いつの時代にも希望はあります。衰退がささやかれ続けるエロゲ業界で、孤軍奮闘して気を吐く斬新な作品を3つご紹介しましょう。もしかしたらこれらの作品の中に、エロゲ復興の重要なカギが潜んでいるかもしれません。


①9-nine-シリーズ



引用元:Amazon
ジャンルアドベンチャー
販売元ぱれっと
プレイ料金2,800円(税別、買い切り)
ゲームのおもしろさ★★★★★(5)
登場人物のセクシー度★★★☆☆(3)
攻略しやすさ★★★★★(5)
抜けるシーンの多さ★★★☆☆(3)


ぱれっとの「9-nine-」は4部作で、2017年4月の「9-nine- ここのつここのかここのいろ」に始まり、2020年4月の「9-nine- ゆきいろゆきはなゆきのあと」で完結しました。シリーズ累計25万本の売り上げは、近年まれに見る大金星と言って差し支えないでしょう。

世界観や物語の舞台は共通ですが、シリーズ全体で4人のヒロインが登場。1作あたり1人のヒロインにしぼる事で、プレイ時間は10時間ほどとコンパクトに。ノベルタイプのADVとしてオーソドックスな作りながら、シナリオが良く話のわかりやすさも担保されています。

最初は“分割商法”との批判もありましたが、4部作にした事で1本あたりの単価はぐっとロープライスに。3,000円ちょいで買えれば、エロゲ初心者のサイフのひももゆるむでしょう。売り方を工夫して大成功した好例で、エロゲ復興への道すじを示唆してくれる名作です。




②古色迷宮輪舞曲 ~HISTOIRE DE DESTIN~

ジャンルアドベンチャー
販売元Yatagarasu(八咫鴉)
プレイ料金8,800円(税別、買い切り)
ゲームのおもしろさ★★★★☆(4)
登場人物のセクシー度★★★☆☆(3)
攻略しやすさ★★★☆☆(3)
抜けるシーンの多さ★★☆☆☆(2)



2012年発売とやや古い作品ですが、独特のゲームシステムが魅力です。物語の舞台は、閑静な住宅街にある喫茶店「紅茶館・童話の森」。女性店主が営むその店でバイトをする名波行人の元に、ある日サキと名乗る少女が大量のウサギのぬいぐるみとともに現れ…。

サキから「あと1週間で死ぬ」と宣告された行人は、次々と襲いかかる不幸に見舞われながらも狂った“運命の輪”を元に戻そうと必死で奮闘します。

序盤がややたるいですが、ゲーム中に現れる“言葉”がシナリオ進行の鍵を握るミステリー展開はかなり異色。セーブポイントも限られ、自力での謎解きが求められます。難易度は高いですが、攻略サイトを見ずに遊んでこそ醍醐味が味わえる歯ごたえバッチリの秀作です。

エロシーンが非常に少なくそこは大いに不満ですが、ゲームとして“遊べる”感覚が他のエロゲに比べ際立っています。シナリオを読み進めるだけのクリックゲーに飽き飽きしているファンが多いわけですから、エロゲも今一度ゲームの原点に立ち返りプレイヤーにもっと頭を使わせるべきです。




③サルテ

ジャンルアドベンチャー
販売元Soiree
プレイ料金3,800円(税抜き、買い切り、DL専売)
ゲームのおもしろさ★★★☆☆(3)
登場人物のセクシー度★★★★☆(4)
攻略しやすさ★★★★☆(4)
抜けるシーンの多さ★★★★☆(4)



このゲームでプレイヤーは主演女優サルテの舞台を見守る観客になります。サルテはすでに殺されており、自分がなぜ死ななければならなかったか回想シーンを演じる事でプレイヤーに明らかにしようとするわけです。筆者は一瞬、黒澤明の「羅生門」を思い出しました。

ロープライスのダウンロード専売という売り方は、新規参入ブランドならではの1つの挑戦。エンディングは賛否両論ながら、始めたら一気に終わりまでプレイしたくなるシナリオ&演出のうまさは特筆に値します。総プレイ時間も7時間程度と非常にコンパクトです。

「あと1,000円安ければ…」との思いは否めませんが、エロゲ衰退の一因ともされるシナリオ長大化とは真逆の方向性。だらだら長い10,000円の作品より、さくっと一気に楽しめる4,000円のエロゲ。業界復興のカギはプレイ時間と価格の抜本的な見直しにありそうです。




まとめ:エロゲの衰退を止めるには、売り方とゲームシステムの改革が必要

「紙芝居はもう沢山だ」エロゲ好きの仲間のあいだからも、近年そういう声が露骨に聞かれるように。やれどもやれどもクリックゲーでは、いくらUIが洗練されグラフィックが精緻になってもモチベーションが保てません。

高価格、PC必須、ぼう大なプレイ時間。このあたりを見直す事から、エロゲの未来が開けてくるのではないでしょうか。

エロゲが好きだからこそ厳しい目で業界の復活にはっぱをかけましょう。以上、panpan(パンパン)編集部からのお届けでした。

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