はのんのBL部屋の小説レビュー!「虹の指針」に萌えキュンしまくり

はのんのBL部屋の小説レビュー!「虹の指針」に萌えキュンしまくり

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エロスのオールラウンダー
桃山ムラコ
レズではないけど可愛い女の子が大好き。AVからBLまでオールラウンドのエロ系ライター。中学生の時に団鬼六を読みSMに目覚める。趣味はコスプレとオナニー。過去に同人活動も行い、コミケはわりと常連。ハガレンのマスタング大佐のような恋人募集中。新宿・渋谷・秋葉原などにふらふらと出没する。趣味を活かした漫画・アニメ系のネタはお任せください!
BLは主に漫画と小説に分けられます。小説には、漫画にはない繊細な心理描写が多く、根強いファンが多くいるんです。私もその一人。今回は、「はのんのBL部屋」という小説サイトを紹介しようと思います。素人作家だとあなどることなかれ!そのスジでは非常に有名な作家さんなんですから。「はのんのBL部屋」のなかから、特に私がお気に入りの小説「虹の指針」を徹底レビューしちゃいます。


オリジナル小説を掲載するブログサイト「はのんのBL部屋」とは

「はのんのBL部屋」とは、BL作家のはのんさんが運営する、BL小説を掲載したオリジナルサイトです。ほぼ全ての作品をご自身が執筆しています。ときどき読者からの投稿もありますが、作品へのオマージュといった程度です。

20以上の長編BL小説が掲載されており、累計100万人以上が訪れていることからもわかるとおり、超人気BLサイトといえますね。

残念ながら、2020年8月現在ではサイトの更新はストップしており、活動休止中となっています。どうやら、はのんさんの体調不良が原因のようです。心配ですね。一日でも早いご回復を心よりお祈り申し上げます。




今回レビューする小説は「虹の指針」

BL作品というと、学園モノを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?もしくは、原作のあるパロディ作品ですとか。もちろん私も嫌いではありませんし、読むこともあります。

ですが、暗黒の学生生活を送ってきた私にとって、キラキラの学園モノはあまりにもまぶしすぎていろいろなトラウマスイッチがONしてしまうんです。よって、学園モノは正直ニガテ分野でもあるわけで……

ご挨拶が遅れましたが、私、BLをこよなく愛し続けて10年以上のマニア、いわゆる腐女子というヤツでございます。BLへの目覚めは幽遊白書でした。年齢がバレますね……

と、やや話が逸れましたので本筋に戻りましょう。私もはのんさんの作品は愛読させていただいております。ときどき「日本語すら怪しい」作家さんもおられますが、はのんさんは別。シンプルながらも要点は押さえたキレイで読みやすい文章を書かれる方。タイトルも「いかにも」といったわざとらしさがなく、爽やかな印象です。

そんな作品がたくさん詰まった「はのんのBL部屋」の中から、今回は「虹の指針」という小説をご紹介したいと思います。単なるファン目線の感想文にならないよう、ときには厳しい視点を持ってレビューに臨みたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

今回レビューする「虹の指針」というお話は、社会人男性同士の恋愛を描いています。そのせいもあって、あまりハデハデしくキャピキャピしたストーリーではありません。BL独特の表現や世界観がニガテな方でも、すんなりと読めるのではないでしょうか。


書き出しから惹きこまれる!「虹」の持つ意味とは?

この作品では、「虹」が非常に重要なモチーフになっています。書き出しからいきなり登場する虹。それはタイトルであったり、現実の虹であったり、主人公の経営するレストランの名前であったり、記憶の中の虹であったり… 

読者はまず、この作品は「虹」が大きな意味を持つのだろうと意識させられるのです。
ページの区切りもよく、物語もテンポよく進むせいか、あっという間に話の中に引き込まれてしまうのです。

「虹の謎を知りたい!」きっとあなたも、スタートからそんな気持ちを強く持つことになるでしょう。


辛い過去を持つ陰ある主人公に腐女子は胸キュン!

主人公は28歳の料理人です。男性しか愛せないこと、過去にトラウマになるような裏切りがあったことで、人生に対する希望を失っています。なんとか自分の店を持ったものの、基本的には他者との交流を避けるように生きているのです。

一体主人公の身に何があったのかは徐々に明らかになっていくのですが、このような陰のある主人公は腐女子の大好物。特に女性のような華奢で線が細く色白のイケメンは、個人的にもドストライクです。

一人の世界で孤独に生き、愛を求めながらも拒絶する主人公。嫌われるのが怖いから、素直に感情を出すこともままならない。本当は強く優しいぬくもりと愛情が欲しいのに。
さまざまなエピソードから垣間見れる主人公の心の揺れに、腐女子はドキドキ&胸キュンなのです!


まさに王子様!完璧すぎる王子様な恋人!

主人公の店に商品を卸している業者の青年が、やがて恋人となるパートナーです。彼は主人公とはまったく正反対の性格で、まさに太陽のような明るさと快活さを持っています。人懐っこい性格から、主人公の心の中にもすんなりと入り込んでしまうのですね。

この彼が、まさに王子様といえるくらいの完璧キャラ!高身長に程よく付いた筋肉。屈託のない笑顔と完璧な仕事能力と家事能力。オマケにすばらしい人間観察能力で、いろいろなことにさりげなく気を遣い、イヤミなく行動に移せる。

BLモノでは片方のキャラがこのような王子設定で描かれることもよくありますが、本作でもその王道を行っているわけですね。


セリフまわしも秀逸!超自然体なラブシーン描写!

本作で特に優れていると感じた点が、登場人物たちのセリフまわしです。日常会話においてもそうですが、ラブシーンでもその素晴らしさが発揮されています。漫画とは違って文字のみで表現するのが小説ですから、セリフだけでも人物の表情や感情が伝わることは非常に重要ですよね。

「……」や「、」、「!」などを巧みに使い分けることによって、目の前に映像としての物語がどんどん浮かんでくるから驚きです。特に「…」を駆使したラブシーンでの主人公のセリフは、読んでいるこちらも非常にドキドキさせられてしまいました。

にもかかわらず、回りくどさやわざとらしさのないナチュラルな文体で、「セリフ臭さ」や「説明臭さ」がないのは本当に素晴らしいと思います。


ライバル出現!?な展開はまさにBLの王道

ライバルの出現、これはラブストーリーには欠かせないスパイスですよね。どの恋愛物語にも必ず出てくるキャラクターです。もちろん本作にもばっちり登場していて、読者をハラハラドキドキさせてくれますよ。

まず、主人公はかつて友人とともにレストランを経営していました。友人だったはずなのに、気づけば淡い恋心を抱いていることを自覚する主人公。いつの間にか友人とカラダの関係に発展してしまうのです。考え方の違いから店を去る主人公ですが、この時に心に深く傷を負ってしまいました。

自分の店を持ち、恋人もできて順風満帆なタイミングで、この友人が主人公のもとを訪れます。「もういちどやりなおさないか」と半ば脅迫するような形で… ライバルはもちろんもう一人登場します。それは恋人の元カノです。恋人との復縁を望み、主人公をあの手この手で悩ませることになります。

このへんのサブキャラのエピソードを程よいタイミングで導入してくるので、読者は飽きることなくますます作品の世界にのめりこんでいくのです。本当によくできている作品です。


読んでいると空腹に!料理がとても美味しそう!

主人公は料理店を営むシェフです。作中にも料理の描写がたくさん登場します。また、恋人もかつては調理師として働いていた過去を持ち、主人公の店を手伝ったり、自宅で料理を作ったりします。

本作は料理に関する描写も巧みで、読んでいるとこちらも非常にお腹が空いてきてしまうから困りものです。日本食、中華、フレンチ、イタリアン、ケーキやデザートと、ありとあらゆるメニューが登場し、夜中に読んでいようものなら「コンビニに行こうかな」と危険な誘惑にかられること間違いなしです。その点だけはくれぐれもご注意くださいね。

ちなみに私は一気読みしたい気持ちと空腹でコンビニに行きたい気持ちとのはざまで1時間以上も悩み続けました。


「虹」の意味はもうひとひねり欲しいかも?

さて、最初に本作では「虹」が重要なモチーフになっていると述べましたよね。その意味も後半に明らかになっていくのですが、虹の理由付けにもうひとひねり欲しかったかな?という思いもあります。

確かに納得はいく設定になってはいるのですが、やや強引なわりに重みが足りないというか… もう少し厚みのあるエピソードが加わるとなお素晴らしい仕上がりになったのではないでしょうか。その点だけがやや心残りでもあります。

でも、勘違いしないでほしいのですが、これはあくまで厳しめの辛口評価だからこその残念ポイントです。普通に読む分には違和感を覚えることもないですから、ご安心くださいね。


「はのんのBL部屋」好きにおすすめしたいBLオリジナル小説サイト3選

では最後に、「はのんのBL部屋」以外のおすすめBL小説サイトをいくつかご紹介しましょう。掲載作品数や更新頻度などもふまえて、3つのサイトを厳選しました。


①「BL小説・漫画・イラスト創作のBLove(ビーラブ)」

BL小説だけでなく、漫画やイラストなども扱う総合創作サイトです。ときどき作品コンテストも行っており、非常に作品数も多いのが特徴です。シチュエーションや原作ごとにタグ付けされているので、読みたい作品をサクッと探すこともできますよ。BL初心者からマニアまで十分に満足できるコンテンツとなっています。




②「POCKET BL NOVEL CLUB」

オリジナルのBL小説を取り扱ったサイトです。作者として登録すれば投稿も可能で、電子書籍化やコミック化されている作品も出るほどです。クオリティの高い作品も多く掲載されています。R指定の作品もカテゴリ分けされているので安心して楽しく読むことができますね。先ほど紹介した「BLove」よりも敷居が低いので、作品投稿を考えている人はぜひ試してみてはいかがでしょうか?




③「田中コンテンツ」

R18作品のみを取り扱っている小説サイトです。作品数はやや少な目ではありますが、過激な内容をお求めの方にはピッタリと言えます。管理人さんが全て執筆しているオリジナル作品のみで、SM要素や鬼畜要素もある内容となっています。あまり恋愛系やいちゃいちゃ系は取り扱いがないので、ソッチ系がニガテでない方におすすめです。




まとめ:「虹の指針」は腐女子じゃなくても楽しめる!

BL小説サイト「はのんのBL部屋」の紹介および、掲載作品「虹の指針」の紹介&レビュー、いかがでしたか?ついつい熱がこもりすぎてしまった感もありますが、このサイトや「虹の指針」の良さが少しでも伝わりましたら嬉しい限りです。

特に「虹の指針」は、設定や表現がキレイなため、腐女子ではない普通の読者にもおすすめできる作品です。サイトの更新が待たれる状態ではありますが、ぜひ一度「はのんのBL部屋」を訪れて「虹の指針」を読んでみてはいかがでしょうか?

以上、panpan(パンパン)編集部からのお届けでした。

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