ヤオイとは?BLとの違い・代表作品・ヤオラーにしか分からない魅力など

ヤオイとは?BLとの違い・代表作品・ヤオラーにしか分からない魅力など

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コタロー編集チーム
エロ漫画・アニメなど、オタク趣味のディレクターとライターで構成されたチームが作品の隅々までレビュー。軽いエロからハードエロまで、シコれる作品を紹介していきます。基本的に好きな作品や、シコネタのルーティンになっているオススメばかり!コミケ参加は不可欠で新刊チェックも日々行っています。
筆者は中学生の頃に幽〇白書で見事に腐り、今や立派な貴腐人になりました。そんな貴腐人世代なら聞きなれた言葉「ヤオイ」。よく「BL」と混同されがちですが、厳密にいえばさまざまな違いがあります。今回はそんなヤオイとBLの違いを含め、ヤオラーにしかわからない魅力・貴腐人の私がおすすめする代表作品をいくつかご紹介しましょう。


ヤオイとは男性同士の同性愛を扱った作品の一ジャンルのこと



ヤオイとは男性同士の同性愛を書いた作品を言います。

やおいとは、男性同性愛を題材にした女性向けの漫画や小説などの俗称。
引用:Wikipedia


Wikipediaでは「女性向け」と記載されていますが、腐男子なる存在もいますし、現実世界でも同性愛者、いわゆるゲイたちにも受け入れられている面もあるため、一概には言えません。

また「801・やおい」とも表現され、最近では海外でも「YAOI」と言えば、男性同士の恋愛を指す言葉として認識されるようになりました。現にInstagramで「#yaoi」と検索すると、海外アカウントの創作作品がバンバン出てきますよ。HENTAI文化の賜物ですね。

ちなみにこれはマンガだけに留まらず、小説ももちろん含まれます。仲間内で作るような同人アニメ・音声作品もそうです。とにかく男性同士の恋愛を描いたあらゆる作品がヤオイになります。


一時は論争も!ヤオイとBL(ボーイズラブ)とはどう違う?



一般人&腐っていないオタクvs腐女子、もしくは貴腐人世代vs腐女子世代、それぞれで何度も衝突し大論争を巻き起こしているのが、このヤオイとBLの違いです。正直なところ私も、ヤオイとBLを一緒にされると「え、違うんだけど?」と若干ムッとします。

厳密にいえば別物です。しかし法的に定められているわけでもあるまいし、最近ではあやふやなところも目立つようになりました。「私はこう思う!」と主張したとしても、「そんなの聞いたことない!こうだ!」と反論してくる人はいるでしょう。

しかしここでは一般的に言われるヤオイの概念を交えつつ、私の主観と共にヤオイとBLの違いを解説していきたいと思います。


ヤオイはパロディ同人誌・BLはオリジナル商業誌

まず大きな違いとして、一次創作と二次創作で区別されます。同人誌、いわゆる「薄い本」と呼ばれる二次創作のパロディ作品はヤオイ、オリジナルの一次創作で、本屋に売られているような商業誌がBLです。

・ボーイズラブ(BL)・・・男性同士の恋愛を扱った、主に一次創作・オリジナル作品や商業作品に対して使用
・やおい(801)・・・同性同士の恋愛を扱った、主に二次創作・パロディ作品や同人作品に対して使用
引用:ニコニコ大百科


とはいえ最近では、本屋に「アンソロジーコミック」としてパロディ作品も売られていますよね。これが「最近のあやふやなところ」です。またアニメの二次創作同人誌もBL本と呼ばれますし、線引きの難しい点でしょう。


ヤオイは18禁・BLは全年齢対象

商業誌か同人誌かはあやふやです。しかしそれ以上に差があると思っている点があります。BLなんて単語がない時代から腐っていた私から言わせてください。濡れ場があるかどうかも大きな指標だと!

大昔の同人誌には、作品の表紙をめくったらヤッているシーンから始まる…なんてものもありました。そのまま濃厚なプレイを繰り広げてイッて終わる、そんなストーリー性はないけどひたすらエロい16P~24Pの薄い本が山ほどあったんです。しかしBLでは切ない片思いや、友達以上恋人未満な初々しさを描いただけで終わるものもありますよね。

ぶっちゃけると「エロなしのホモ作品はヤオイじゃない」、これなんです。これは同じ貴腐人でも意見の別れる点ではありますが、私と同じ意見の方が圧倒的に多いでしょう。最近では「BL18禁」と書かれた同人誌があったりとあやふやですが、少なくともエロシーンもないのにヤオイを名乗るのは納得できません。

【ヤオイ】
・パロディの二次創作
・同人作品
・エロあり必須

【BL】
・オリジナルの一次創作
・商業作品
・エロなしでも可

これがヤオイとBLの違いです。


ヤオイの歴史を解説〜もともとは全く違う意味だった〜



「BLと混同されがち」というよりも、「ヤオイと言わなくなった・まとめてBLと呼ばれるようになった」、そんな言い方のほうがしっくりくる最近ですが、ここでヤオイの歴史を紐解いてみましょう。


「ヤオイ」の前は「少年愛」、リアルさよりも耽美さがウリだった

1960年前後には、すでに男性同士の恋愛がマンガとして発売されています。「昭和24年組」と呼ばれる漫画家たちをご存知ですか?竹宮恵子・大島弓子・山岸涼子などがそうです。

特に萩尾望都の作品は、男性愛をマンガ化した元祖とも呼ばれています。「トーマの心臓」や、宝塚でも演じられた「ポーの一族」などは、もはや伝説の作品といえるでしょう。



この時代はエロさはもちろん、リアルな恋愛描写もあまりありません。いかに美しい世界観で描くか、「耽美」さのみが求められていたのです。今でも「BLはファンタジー」なんて言われますが、この時代はさらに神秘的なものだったんですね。

ちなみにこの時代に少年愛とセットでよく薔薇が描かれていたため、「女性同士=百合」に対して、「男性同士=薔薇」と言われるようになったとの説もあります。筆者はゲイ向け雑誌の「薔薇族」が、1971年に創刊されたから派ですけどね。


ヤオイはもともと「山なし落ちなし意味なし」の意味だった

「少年愛」から10年ほどたった1970年代後期ころに、ようやく「ヤオイ」という言葉が生まれます。ヤオイの語源は「ヤマなし・オチなし・イミなし」の頭文字をとったもの。先ほど言った「ストーリー性などなくただヤッてるだけ」の同人誌なんてまさにそうですよね。

耽美さのみが描かれていた前時代とは違い、男性同士の性行為への需要が高まったのが要因です。耽美な世界に精液や喘ぎ声はありません。また性行為に突出した作品には、少年愛のような繊細な心理描写がないものが多かったのです。そのため「エロがあればヤオイ」へと分別されるようになりました。


1980年代当時のヤオイには、男性同士だけでなく女性同士や男女の恋愛も含まれていた

ここまで「ヤオイ=男性同士の恋愛」として紹介してきましたし、それに間違いはありません。しかし古参振るわけではありませんが、昔はちょっと違いました。貴腐人世代である私が声を大にして言いましょう。「百合だってヤオイだ!」と。

エロ要素ありでストーリー性が薄かった1970年代。そこから10年たった1980年代後期には、エロもあるけどストーリー性もある、そんな作品が増えていきました。そしてストーリー性が凝られるようになったがために、作中に女性キャラが出始め、「俺は男なのに…」と同性愛に悩む描写が一般的に描かれるようになったのです。

こうなると「ヤオイの世界に女性がいてもおかしくない」となります。そのうち女性同士の恋愛(GL)や、男女同士の恋愛(NL)もヤオイに含まれるようになりました。

「やおい」という言葉が使われ始めた当時は、一般の目を避けるべきものの総称のように使われていたこともあったため、百合(女性同士の恋愛もの)や男女の恋愛ものなども含んでいたこともあった。
引用:ニコニコ大百科


私が腐り始めたのもこの頃。1992年に連載が開始された「セーラームーン」や、1994年からアニメが放送された「レイアース」では、女性同士の性行為を描いたヤオイ本が多く出回っていたものです。



この辺りから、「恋愛関係を勝手に妄想してエロいことしている内容を作品化する」、この全てが「ヤオイ」だと認識されるようになったのです。


1990年代には「ヤオイ=エロの有無に関わらず男性同士の恋愛」を指すようになった

・1960年代=ヤオイではなく少年愛・耽美・性行為なしの美しい世界観
・1970年代=男性同士の同性愛・パロディ・性行為に突出
・1980年代=性別に関わらない愛憎模様・パロディ・性行為あり

こんな歴史を経て、1990年代になります。この頃になると、徐々に男性同士の恋愛模様のみが描かれていくようになりました。作者は女性が多かったため、自然と淘汰されていったのでしょう。2002年から連載が始まった「げんしけん」でも、「ホモが嫌いな女子なんかいません!!!」なんて名言も出てますしね。



また性行為にこだわらないリアルな心理描写や、オリジナルでの作品制作も目立っていきます。ビブロス出版(現在はリブレ)から1993年に刊行された「BE×BOY」を始め、新書館が1997年に「Dear+」を刊行するなど、商業誌が増え始めたのも大きな要因です。

「ボーイズラブ・BL」の言葉が生まれたのもこの頃。エロをイメージさせる「ヤオイ」よりも、響きがキレイで切ない心理描写を主にしていた「BL」の方が、好きだと名言しやすかったのでしょう。聞いただけで意味が分かるのも大きな違いです。これを境にして、2000年頃には「ヤオイ」が死語化していきました。


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ヤオイの魅力とは?ヤオラーから愛される、驚きの理由
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